2019年不動産開業支援セミナー『不動産業者の体験談』
大森氏(以下、大森):
それでは、これから不動産開業支援セミナー、第二部「不動産業務を営む体験談」を始めます。パネリスト2名の方をご紹介いたします。
岡山西支部のおうち家マネージメント㈱代表取締役の高橋有哉さんと倉敷支部の松尾不動産で代表の松尾眞知子さんです。よろしくお願いいたします。
高橋氏(以下、高橋):
よろしくお願いします。
松尾氏(以下、松尾):
よろしくお願いします。
大森:
では、高橋さんの方から簡単に自己紹介をお願いします。
高橋:
こんにちは。おうち家マネージメント㈱の高橋と申します。岡山西支部に所属しています。
お話は上手ではないですが、よろしくお願いいたします。
大森:
次に松尾さん、お願いします。
松尾:
はい。私はまったくのド素人から水島の方で開業して22年経っております。なんとか生き延びて年数だけがたっております(笑)。
皆様の参考になるようなお話ができるかわかりませんが、質問がありましたらお応えいたしますので、よろしくお願いします。
大森:
皆様の質問もあるかと思いますが、まずは私のほうから質問していきたいと思います。高橋さん、前職があるとお聞きしましたが、不動産を開業したきっかけ、経緯を教えてください。

司会

大森 明彦 氏
(株)コメンドオオモリ 代表取締役

パネリスト

高橋 有哉 氏
おうち家マネージメント(株)代表取締役

パネリスト

松尾 眞知子 氏
松尾不動産 代表
目標がない日々から一転 宅建の勉強を始めた
高橋:
自分の会社を開業したきっかけは11年前に姉弟で立ち上げた「おうち家不動産㈱」です。
この会社は私が不動産業に入るきっかけになっているのでお話しますね。
当時、私は高校卒業していたんですけど、夢と言うか、目標がなかなか見つからなかった時にですね、姉が宅建士の資格を取って不動産業に勤め始めたんです。
そんな姉を見て、自分も目標として宅建士の資格を目指して勉強を始めようかなと思いました。
それから、それぞれ不動産業に勤め始めたんです。宅建士の勉強を始めたのが19歳で、受かったのが20歳でした。
私の父は21歳の時に他界したんですけど、父が病床についたときに姉弟で不動産業ができたらいいなと話してて、それが姉弟の夢となり、「おうち家不動産㈱」を姉と一緒に立ち上げました。
それから数年して私は「おうち家不動産㈱」から独立して「おうち家マネージメント㈱」を5年前に立ち上げました。
現在、同じ建物内で1階が「おうち家不動産㈱」2階が「おうち家マネージメント㈱」という形で営業しています。
違いとしては住居系が「おうち家不動産㈱」でテナント系が「おうち家マネージメント㈱」です。
基本的には不動産全般で管理等もすべてしています。不動産開業のきっかけはこんな感じです。
大森:
わかりました。お姉様の会社から独立したのは、仲間割れではなく、仲良く持分を分けて不動産業を行うということで、独立されたのですね?
高橋:
そうです(笑)
大森:
独立までの間は何をされていたのですか?
高橋:
はい、独立までではないですが、不動産業界に入る前はパチンコ屋さんでアルバイトをしていました。
理由としては先ほど話したのですが父の調子も悪かったので、家に生活費を入れないといけなかったからです。
パチンコ屋さんは手っ取り早く稼げるし、早番と遅番があって、シフト勤務で半日くらい時間が取れるんです。その空いた時間で宅建士の勉強をしていました。
給料がでない月もありました
大森:
なるほど。その延長でパチンコの世界に行くという選択は考えなかったのですか?
高橋:
それはまったくなかったですね(笑)
大森:
ははは(笑) では独立して5年が経つわけですね。不動産業を始めてから後悔したこととか、そういうことは無かったですか?
高橋:
後悔したことは一度もないです。
不動産業って、物件を引渡した後もトラブルがあったりと色々あるんですけど、それが毎日、何か新しいことが起きている感じがします。
それらに対して、自分なりに問題に対応していくことに充実を感じています。
だいたい一日があっという間に終わるんです。そんな感じですので後悔したことは一度もないですね。
大森:
それじゃあ、開業してから「これでもうやっていける」と自信がついたのは、開業してから何年目くらいでしたか?
高橋:
そうですね…最初の「おうち家不動産㈱」の時の従業員は姉と私と母でした。
管理戸数は一棟しかなくて、月々の売上も上下したり、給料もでない月があったりしたんですけど…うーん、3年くらいでしょうか。
大森:
なるほど、3年ですね。皆様、1年目からぼろ儲けという世界は多分ないかと思います。
今のが、生の声じゃないかなと私は思います。では、次に開業して、一番嬉しかったことがあれば教えてください。
宅建協会が結んだ縁
高橋:
お客様からお客様を紹介していただけて、その方も成約できたり、お客様からの紹介が続いて大きな取引になったりしたこともありました。
あと、宅建協会に入って良かったと思う事があって、支部旅行とか講習会が宅建協会の主催であるんですけど、その旅行で同じ地域の様々な先輩業者と仲良くなれたりしました。
ある時、保育園事業をしたいお客様がいるから物件の紹介をしてくれないか、と相談を受けたんです。保育園事業ができる物件はなかなか難しくて、かなり難航しました。
ふと、研修会で仲良くなった先輩業者に相談しようと思いたって、電話をしました。そしたら、すぐにおいでと言ってくれて、親身に相談に乗ってくれました。
それによって、この案件は無事に解決できたんです。
宅建協会が行っている研修会やイベントに自分から積極的に参加することによって、できた繋がりですが、宅建協会がこのような行事や交流の場を用意してくれていたから参加できるものなので、私はこの時、宅建協会に入って良かったな。と思いました。
大森:
ありがとうございます。
最後に仕事に対する想いや、自分の会社「おうち家マネージメント㈱」の方針でもいいし、そんなに大層に考えなくてもいいですから、仕事に対する個人的な想いを教えてください。
高橋:
自分の所はテナントも扱っていますので、取引の額としては賃料が100万超えだったり、売買だったら億の額だったり、紹介のお話で事務所の査定に行ったら査定額が3万だったり、金額的に様々ではありますが、金額で動くようなことはしたくないなと考えています。
理由としては、お客様は一件、一件それぞれ悩まれていますし、金額による差別化はしたくないと考えています。
お客様の立場になって、親身に考えるということが私の会社の方針と考えています。
大森:
ありがとうございます。
私共、仕事をしていて少額の取引ほど作業が多く、逆に高額な取引ほど、作業が楽だったという経験が何度もあります。
高額な取引の金額分、少額な取引でもやってあげたいと思うお客様に回すというような、そういう巡り合わせをよく感じますね。
それでは、松尾さん、同じような質問になりますが、不動産開業のきっかけや経緯があれば教えてください。
まったくの素人 専業主婦から不動産業立ち上げて22年
松尾:
私は専業主婦をしながら子育てをしておりました。
当時は義父が自宅で不動産業をしていました。
自宅兼事務所でしたのでお客様は自宅の玄関に来られます。ですので、大体私が最初にお客様の対応をしておりました。
段々と義父が高齢になり、お客様が来られたことを義父に伝えても「年だからもうできない。帰ってもらってくれ」ということが多くなってきました。
せっかくお客様が訪れてくださったのに申し訳ないなという気持ちが大きくなったのが第一のきっかけです。
それと私が宅建士を取得したらパートに出なくても楽に稼げるかな?と、そんな単純な気持ちで宅建士資格試験を受けたら、無事に合格できたんです。
素人なので、これから義父に教えてもらいながら不動産業をしていけばいいかなと考えていたら、義父がすぐに他界してしまったんです。
このまま始めるには怖いけど、周りには自分が不動産業を始めると話してしまっていたし、引っ込みがつかなくなってしまったんですよ。
義父の残した事務所やお客様がいらっしゃるから、このまま不動産業を始めようと思いました。
大森:
専業主婦とお聞きしましたが、以前は別の職業に就いていたと聞いています。前職はなんだったんでしょうか?
松尾:
専業主婦の前は看護師をしておりました。
看護師の経験は不動産業にも生かされています。
特に接客などは看護師の時にも患者さんの背景を知らないといけなかったので、質問技術などは役に立っています。
不動産業は後悔ばかり?
大森:
なるほど。それでは開業して後悔したことはありますか?
松尾:
もうずうーと後悔してます!
最初から難しい取引を持ってこられて、皆どうしてこんな難しい仕事をしているんだろう? と考えていましたね。
早く辞めたい、早く辞めたいと3年くらいは思っていました。
大森:
はい、ありがとうございます。
ええと…次に自信がついたのは何年後くらいですか? と質問したかったのですが、まあ、今のが答えですかね?(笑)
松尾:
あ、そうですね(笑) まあ、自分なりに勉強して、私には荷が重いと思う取引は避ける術を身につけましたので、少し楽になりました。
それから、仕事も徐々にできるようになりました(笑)
大森:
なるほど、それも経験かと思います。
それでは開業して、嬉しかったことはありますか?
松尾:
それは、お金を頂いたときですよ(笑)
大森:
ははは(笑) 松尾さんは水島ですよね?
先ほど、高橋さんのお話にありました、億の仕事もあれば安いのもあると。売買取引で史上最低の取引金額はいくらでしたか?
松尾:
史上最低取引は50万です。
大森:
はい、皆様、ご存知だとは思いますが、50万円の売買取引の媒介報酬(仲介手数料)は2万5千です。
消費税合わせて3万弱ですね。報酬が少ないほど、辛かったり、手間がすごくかかったりする、不動産業はそんな世界です。
もちろんトラブルもあったりする。この繰り返しだと思います。
では、松尾さん、次に仕事に対する想いを教えてください。
松尾:
高橋さんは上手にお話されていましたが、私は来られたお客様の悩み、困り事を解決して、目的を達成して、初めて報酬をいただいています。
綺麗ごとを言いますと、取引金額が高い安い関係なく、今後もお客様の悩みを解決して続けていきたいと考えております。
大森:
はい、ありがとうございます。
では次に宅建協会に対する想い、ご要望、ご不満があれば伺っておきたいと思います。
松尾:
私は宅建協会の本部理事をしておりますので、褒めることも貶すことも難しいのですが(笑)
大森:
ははは(笑)
不安を解消してくれる先輩業者たち
松尾:
そうですね、宅建協会に所属しておりましたら、先輩との繋がりが持てます。
困ったことがあったら、周りの先輩が助けてくれます。
宅建協会は特に、小規模な業者が多いので、ご自分が開業された場合でも似たような業者がたくさんあります。
なので、宅建協会に入っていたら、似たような境遇の業者さんが周りにいるし、相談もしやすいです。
不安に感じるかもしれませんが、開業したあとの進展に繋がると思います。宅建協会に入っていれば大丈夫ですよ。
宅建協会は会員様の交流の場をつくります。
大森:
ありがとうございます。この不動産業界は10社あれば10社ともやり方が違います。
寄らば大樹の陰という言葉もありますが、宅建協会は県内の同じ様な中小業者が集まった団体です。
私共は20数年この商売をしておりますが、全然知らない業者にいきなり資料請求されたりしても不安が大きいので紹介したくありません。
宅建協会の研修会やイベントを通じて、顔見知りになり、お互いの情報がわかれば、その不安は大きく払拭されます。
皆様、交流の場が多い宅建協会にぜひともご入会ください。
宅建協会への入会は業者同士が知り合うきっかけになります。